稲門会交友録 No.1

人との出会いや巡り合いは、人生を大きく変える力があります。数十年ぶりに出会った大学時代の友人に誘われて参加した年次稲門会での巡り合いは、私にとって大きな転機になりました。
卒業後まもなく結婚し、主婦として家庭を支え、子供を育てる・・・これが私の人生においての全ての役割だと思っていました。その役割を終えて60歳を過ぎた私が鏡の中を覗くとすっかり若さを失った自分が写りました。あれほど欲しかった自由な時間、自分のために使える時間ができたにもかかわらず、その時間をもてあまし『これからどう生きていくのか』と鏡の中の自分が問い返してきました。
そんな折に偶然が重なりサークル(アナウンス研究会)で一緒だった友人からたまたま突然の電話があり、年次稲門会に誘ってくれたのです。その稲門会では卒業以来会っていなかった第一文学部の友人にも再会しました。その友人は10年以上も英会話スクール経営の経験があり、彼女の強い勧めで私も英会話スクールをオープンするきっかけをつかんだのです。周りの同年代の人達がリタイアする年齢になって私は初めて社会に飛び出すことにしたのです。
市場調査もせず、業界の事情も知らずある意味無謀な船出でした。もちろんすぐにはうまくいきません。固定費は莫大にかかります。このまま赤字が続いたら・・・現実を突きつけられた時、足がすくみました。でもただ時間を消費するだけという空虚さと比べると何もかもが新鮮な苦しみでもありました。日々の葛藤を超え、ようやくスクールは路線に乗りつつあります。
遅まきながら社会に出た私は、いつしかいろいろなヒントや刺激を得る為に早稲田とのつながりを意識するようになりました。年次稲門会に誘ってくれた友人は教育学部、社会科学部OBの安田健一さんの主催する会合に誘ってくれたのは政治経済学部のOB。そしてその安田会で出会った多くの新たな友人たちは社会科学部のOBの方達です。学部はそれぞれですが、数十年ぶりに会った人や初めて出会った人が、まるでずっと以前からの交友があったように安心できるのは、早稲田で学んだと言う大きな大きな共通点があるからではないでしょうか。早稲田で青春時代を過ごしたことが、60歳を過ぎた今実ったのかなと感じています。これからも皆さんとの交友を通して『早稲田を楽しんで』いきたいと思っています。

鈴木則子(旧姓杉村)
昭和48年第一文学部卒業
アナウンス研究会
静岡県島田市出身
アイ英会話スクール東久留米